感情

伝説

ワーテルローの戦いがロンドン相場に与えた衝撃

1815年、春。エルバ島を脱出したナポレオン・ボナパルトが、破竹の勢いでパリに帰還したという一報は、欧州全土を震撼させた。ウィーン会議で戦後処理を話し合っていた列強諸国は、突如として蘇った「皇帝」の悪夢に直面する。フランス国民の熱狂的な歓迎を受け、ルイ18世が逃亡した後のパリで、ナポレオンは再び帝位に就いた。後に「百日天下」と呼ばれるこの期間は、欧州の平和を根底から覆し、とりわけ海峡の向かい側に位置する英国に、深刻な恐怖と緊張をもたらした。
伝説

ニュートンの法則も市場では通用せず? – 天才科学者が南海泡沫で犯した致命的ミス

天体の動きは計算できるが、人々の狂気は計算できないこの言葉を残したのは、近代科学の父であり、万有引力の法則を発見したサー・アイザック・ニュートン(1642-1727)その人である。人類史上最高の知性と称えられる彼が、なぜこのような言葉を漏らしたのか。それは、彼自身が18世紀初頭のイギリスを席巻した史上空前の投機バブル「南海泡沫事件」に巻き込まれ、莫大な資産を失ったからに他ならない。
感情

最初に見た株価に縛られる「アンカリング効果」とは?

「あの時1,000円だった株が、今800円まで下がっている。。。これは絶好の買い場だ!」株式投資をしていると、このような思考に陥った経験はないでしょうか。一見すると、過去の価格より安くなっているため、合理的な判断のように思えます。しかし、ここにこそ、多くの投資家が囚われる心理的な罠、「アンカリング効果」が潜んでいるのです。
伝説

伝説の投機家ジェシー・リバモアの栄光と破滅から学ぶ、感情コントロールの教訓

ウォール街の歴史上、その名を永遠に刻む伝説の投機家、ジェシー・リバモア。彼は「ウォール街のグレートベア」と称され、20世紀初頭のアメリカ株式市場を席巻しました。1907年の恐慌、そして1929年の世界大恐慌を正確に予測し、空売りによって莫大な富を築いた彼の名は、天才的な相場師の代名詞として今なお語り継がれています。その生涯で稼ぎ出した利益は、現在の価値にして数千億円とも言われます。しかし、彼の人生は輝かしい栄光だけではありませんでした。巨万の富を築く一方で、それをすべて失う破産を4度も経験し、最後は自ら命を絶つという悲劇的な結末を迎えます。なぜ、時代を読み解く類まれな才能を持った男は、かくも壮絶な浮き沈みを経験し、破滅へと至ったのでしょうか。
感情

ITバブル崩壊に学ぶ – 熱狂の渦中で個人投資家はどう行動したか

生成AIの登場が世界を席巻し、関連企業の株価が青天井の上昇を続ける2025年。株式市場は活況を呈し、新たな「億り人」が次々と誕生しています。この光景に、四半世紀前の熱狂と、その後に訪れた痛ましい崩壊劇の記憶を重ねるベテラン投資家は少なくありません。「ITバブル」――。1990年代末から2000年初頭にかけて、世界中を巻き込んだインターネット革命への過剰な期待が生んだ巨大な泡。それはやがて、音を立てて弾け、多くの人々の夢と資産を飲み込んでいきました。なぜ、あれほどの熱狂が生まれたのでしょうか。
伝説

なぜバフェットの「恐怖で買い、熱狂で売る」は、 言うは易く行うは難しなのか?

「他人が強欲になっているときは恐る恐る、周りが怖がっているときには貪欲に」これは、「オマハの賢人」として世界中の投資家から尊敬を集めるウォーレン・バフェットが説いた、最も有名な投資格言の一つです。平たく言えば、「市場が熱狂している(株価が高騰している)ときには慎重に売り、市場が恐怖に包まれている(株価が暴落している)ときには積極的に買う」という意味になります。
感情

「いつか戻る」が塩漬け株を作る【希望的観測】の罠

株式投資の世界に足を踏み入れた多くの人が、一度は経験するであろう「塩漬け株」。購入時よりも株価が大幅に下落し、売るに売れず、かといって保有し続ける明確な根拠も見いだせないまま、ポートフォリオの片隅で静かに含み損を膨らませ続ける存在です。なぜ、これほど多くの投資家が「塩漬け株」を生み出してしまうのでしょうか。
感情

パニック売りは止められるか?暴落時に心を支配する【恐怖】との向き合い方

2008年のリーマンショック、そして記憶に新しい2020年のコロナショック。金融市場の歴史は、幾度となく「暴落」という名の嵐に見舞われてきました。その度に、多くの投資家が資産を大きく減らし、市場から退場を余儀なくされてきました。彼らを市場から追い出した最大の要因、それは「パニック売り」です。
SNS

「もっと儲かるはず」が高値掴みを生む【欲望】の心理学 – FOMOの正体

「あの時買っておけば、今頃は…」活況を呈する株式市場や暗号資産市場を横目に、多くの人が一度は抱くであろうこの感情。そして、その感情に突き動かされるように市場に参入した途端、それまでの上昇が嘘だったかのように相場が反転し、気づけば高値で資産を掴んでしまっていた――。これは、投資の世界で後を絶たない「高値掴み」という典型的な失敗パターンです。なぜ、これほど多くの投資家が、まるで示し合わせたかのように価格がピークに達した時点で買ってしまうのでしょうか。
プロ

なぜプロでも感情で失敗するのか? 投資における「感情」の重要性

「投資は、合理的かつ冷静な判断のもとで行うべきである」これは、投資の世界における揺るぎない鉄則として語り継がれてきました。しかし、現実の市場は、常に合理的な数字だけで動いているわけではありません。その背後には、人間の「感情」という、目に見えない巨大な力が渦巻いています。