「もっと儲かるはず」が高値掴みを生む【欲望】の心理学 – FOMOの正体

SNS

「あの時買っておけば、今頃は…」

活況を呈する株式市場や暗号資産市場を横目に、多くの人が一度は抱くであろうこの感情。そして、その感情に突き動かされるように市場に参入した途端、それまでの上昇が嘘だったかのように相場が反転し、気づけば高値で資産を掴んでしまっていた――。これは、投資の世界で後を絶たない「高値掴み」という典型的な失敗パターンです。なぜ、これほど多くの投資家が、まるで示し合わせたかのように価格がピークに達した時点で買ってしまうのでしょうか。

その背後には、「もっと儲かるはずだ」という根拠のない、しかし抗いがたい強力な期待感が存在します。この期待感は、人間の根源的な「欲望」と、現代社会特有の心理現象である「FOMO(Fear of Missing Out:取り残されることへの恐怖)」によって増幅され、冷静な判断力を奪い去ります。

本記事では、この高値掴みという現象を心理学的な側面から深く掘り下げていきます。まず、高値掴みに至るプロセスと、そこに作用する集団心理のメカニズムを解き明かします。次に、行動経済学の根幹であるプロスペクト理論や認知バイアスといったツールを用いて、「欲望」が私たちの投資判断をいかに歪めるのかを分析します。さらに、現代の投資家を苛む「FOMO」の正体とその影響力について詳述し、最後に、これらの心理的な罠を克服し、賢明な投資家として市場と向き合うための具体的な方策を提言します。

この記事を読み終える頃には、あなたがこれまで無意識のうちに囚われていた心理的な呪縛を理解し、感情に流されない、規律ある投資への第一歩を踏み出せるようになっているはずです。

第1章:なぜ私たちは高値で買ってしまうのか?- 高値掴みのメカニズム

高値掴みは、決して一部の未熟な投資家だけに起こる現象ではありません。経験豊富なベテランでさえ、市場の熱狂の中では我を忘れ、同じ過ちを犯してしまうことがあります。そのメカニズムを理解することは、罠を回避するための第一歩です。

「もっと儲かるはず」という幻想の形成

上昇相場が続くと、市場全体が一種の高揚感に包まれます。連日のようにメディアは最高値更新を報じ、SNSには利益確定の報告が溢れかえります。このような環境下では、人間の心理にいくつかの特徴的なバイアス(偏り)が生じます。

一つは「正常性バイアス」です。これは、多少の異常事態が起こっても、それを正常の範囲内だと認識し、

「自分だけは大丈夫」

「これからもきっと上昇し続けるだろう」

と思い込もうとする心理作用です。株価が本来の価値から大きく乖離して上昇していても、「今回は違う」「新しい時代の到来だ」といった楽観的な物語が信じられるようになり、過熱感を冷静に評価する視点が失われていきます。

そして、この楽観論は

今買わなければ、このビッグウェーブに乗り遅れてしまう

という強烈な焦りを生み出します。これは、機会損失への恐怖です。実際に利益を得る喜びよりも、得られるはずだった利益を逃す苦痛の方が、人間にとっては大きく感じられる傾向があります。この焦りが、十分な分析や検討を省略させ、「とにかく買う」という衝動的な行動へと駆り立てるのです。

集団心理の罠:「みんなが買っているから」という危険な同調

人間は社会的な生き物であり、他人の行動に強く影響を受けます。投資の世界においても、この「集団心理」は強力に作用します。

代表的なものが「バンドワゴン効果」です。これは、ある選択肢を多数の人が選択しているという情報に触れることで、その選択肢への支持がさらに増加する現象を指します。

「みんなが買っているのだから、きっとこの銘柄は有望なのだろう」

という安易な判断は、自らの頭で考えるプロセスを放棄させます。特に、投資初心者にとっては、大勢に従うことが最も安全な選択のように感じられてしまうのです。

この集団心理を加速させるのが、現代のメディアとSNSの存在です。テレビやネットニュースは、センセーショナルな「億り人(資産が1億円を超えた人)」の成功譚を好んで取り上げます。SNS上では、特定の銘柄を推奨するインフルエンサー(「煽り屋」と揶揄されることもある)が登場し、そのフォロワーたちが一体となって熱狂的なコミュニティを形成します。

2020年から2021年にかけての米国のゲームストップ株騒動や、近年の暗号資産市場における一部のミームコインの高騰などは、この集団心理が市場をいかに過熱させるかを示す象徴的な事例と言えるでしょう。個人投資家がSNS上で結託し、ヘッジファンドの空売りに対抗して株価を吊り上げた動きは、当初は小気味よい反乱と見なされましたが、最終的には熱狂のピークで飛びついた多くの個人投資家が、その後の暴落によって甚大な損失を被る結果となりました。

このように、個人の「もっと儲かるはず」という幻想は、集団心理によって増幅され、社会的証明(皆がやっていることは正しいという思い込み)によって正当化されます。その結果、投資家は自らの判断ではなく、群衆の熱気に流されるまま、最も危険な価格帯で資産を購入してしまうのです。

第2章:「欲望」が判断を歪める心理学 – プロスペクト理論と認知バイアス

高値掴みの背後にある「もっと儲かるはず」という感情は、単なる金銭欲求として片付けることはできません。それは、私たちの脳の仕組みや意思決定の癖に深く根差した、より複雑な心理現象です。ここでは、行動経済学の知見、特に「プロスペクト理論」と「認知バイアス」を手がかりに、欲望が私たちの理性をいかに乗っ取るのかを解き明かしていきます。

投資における「欲望」の本質:ドーパミンと報酬系

投資で利益を得た時の高揚感は、単なる満足感以上のものです。脳内では「ドーパミン」という神経伝達物質が放出されています。ドーパミンは、快感や意欲、学習に関わる物質であり、「報酬系」と呼ばれる神経回路を活性化させます。この報酬系が刺激されると、私たちは強い快感を覚え、その行動を再び繰り返そうとします。

つまり、投資で一度大きな利益(報酬)を得ると、脳はその快感を「学習」します。そして、再びその快感を得るために、より大きなリスクを取ることを厭わなくなります。上昇相場の中で利益が積み重なっていくと、ドーパミンの放出が続き、投資家は万能感にも似た感覚に陥ります。この状態では、リスクを冷静に評価する能力が著しく低下し、「もっと儲かるはずだ」という欲望が暴走を始めるのです。このメカニズムは、ギャンブル依存症のそれと酷似しています。

プロスペクト理論で読み解く高値掴み

ノーベル経済学賞を受賞したダニエル・カーネマンとエイモス・トベルスキーが提唱した「プロスペクト理論」は、人間が不確実な状況下でどのように意思決定を行うかを説明する理論であり、高値掴みの心理を鮮やかに解き明かしてくれます。この理論の重要な概念は以下の三つです。

  1. 参照点依存性 (Reference Dependence)
    人間は、絶対的な価値で物事を判断するのではなく、ある「参照点(基準点)」からの変化で利得や損失を評価します。投資においては、自分が購入した価格が最初の参照点となります。しかし、価格が上昇し始めると、この参照点がずるずると上に移動していきます。例えば、100万円で買った株が150万円になると、今度は150万円が新たな参照点となり、そこから価格が下がることを「損失」と感じるようになります。そして、株価が最高値を更新し続けると、「最高値」そのものが参照点となり、「もっと上がるはず」という期待だけが先行し、利益を確定するという合理的な判断ができなくなるのです。
  2. 損失回避性 (Loss Aversion)
    プロスペクト理論の中心的な概念であり、「人間は利益を得る喜びよりも、同額の損失を被る苦痛を2倍から2.5倍強く感じる」という性質を指します。これを高値掴みの文脈で考えると、「利益を逃すこと(機会損失)」が、一種の「損失」として認識されるようになります。目の前で株価が急騰しているのを見ると、「この上昇に乗れない」ということが、実際に損をするのと同じくらいの強い苦痛として感じられます。この苦痛から逃れるために、多くの人は「高すぎるかもしれない」という理性の声を振り払い、衝動買いに走ってしまうのです。
  3. 感応度逓減性 (Diminishing Sensitivity)
    利得や損失の額が大きくなるほど、その変化に対する感度(心理的なインパクト)が鈍くなるという性質です。例えば、0円から10万円儲かる喜びと、100万円から110万円儲かる喜びとでは、金額の増加は同じ10万円でも、前者の方がはるかに大きく感じられます。上昇相場で利益が積み重なっている状態では、投資家は利益の増加に対して鈍感になります。同時に、リスクに対しても鈍感になり、「ここまで儲かったのだから、あと少しリスクを取っても大したことはない」と考え、さらに大きな利益を求めて過剰なリスクテイクに走りがちです。

高値掴みを誘発する認知バイアスの数々

プロスペクト理論が示す人間の非合理的な性質に加えて、私たちの思考には様々な「認知バイアス(思考の癖)」が潜んでおり、これらが高値掴みを強力に後押しします。

  • 確証バイアス (Confirmation Bias):自分が信じたい結論(例:「この株はもっと上がる」)を支持する情報ばかりを無意識に探し、それに反する情報を無視・軽視してしまう傾向。上昇相場では、楽観的なニュースやアナリストレポートばかりが目につき、警鐘を鳴らす声は耳に入らなくなります。
  • アンカリング効果 (Anchoring Effect):最初に提示された情報(アンカー)が、その後の判断に過剰な影響を与える現象。株価が一度、非常に高い価格(例えば史上最高値)をつけると、その価格が投資家の頭にアンカーとして強烈に刻まれます。その後、価格が多少下落しただけで、「あの最高値から見れば、今は割安だ」と錯覚し、購入の判断を下してしまうのです。
  • 後知恵バイアス (Hindsight Bias):物事が起きた後に、あたかもそれが予測可能であったかのように考えてしまう傾向。「あの時買っておけば良かった」という後悔は、まさに後知恵バイアスです。このバイアスは、「次こそは波に乗るぞ」という焦りを生み、未来の価格変動も同様に予測可能であるかのような錯覚を引き起こします。

これらの心理メカニズムが複雑に絡み合い、「もっと儲かるはず」という欲望は、あたかも合理的な判断であるかのように錯覚させられ、投資家を破滅的な高値掴みへと導いていくのです。

第3章:FOMO(Fear of Missing Out)の正体 – 「乗り遅れる恐怖」の支配

高値掴みを引き起こす心理的要因として、近年特に注目されているのが「FOMO(Fear of Missing Out)」です。日本語では「取り残されることへの恐怖」と訳されるこの感情は、特にソーシャルメディア(SNS)の普及によって、現代人のあらゆる行動に影響を及ぼすようになりました。そして、投資の世界において、FOMOは最も強力な判断の歪曲要因の一つとして機能しています。

FOMOとは何か?

FOMOとは、心理学者のアンドリュー・プリビルスキ博士らによって定義された概念で、「他者が経験している有益な体験を、自分が経験していない、あるいは見逃していることに対して抱く、持続的な不安や心配」を指します。本来は、友人たちが楽しんでいるパーティに参加できない、流行の話題についていけないといった、社会的なつながりに関する不安を説明するための言葉でした。

しかし、この「乗り遅れたくない」という根源的な欲求は、資産形成という極めて個人的な領域である投資においても、絶大な力を発揮します。他の投資家が特定の銘柄で大きな利益を上げているという情報を目にすると、「自分だけがこの儲け話から取り残されているのではないか」という強烈な不安に襲われます。この不安は、第2章で述べた「機会損失への恐怖(損失回避性)」と直結し、冷静さを失わせる強力なトリガーとなるのです。

SNS時代が加速させる投資FOMO

かつて、他人の投資の成功を知る機会は、友人との会話や雑誌の記事など、非常に限られていました。しかし、SNSの登場が状況を一変させます。

  1. リアルタイムでの「爆益報告」: Twitter(現X)やInstagram、YouTubeなどで、個人投資家が自分の利益画面のスクリーンショットを投稿することが日常的になりました。「#爆益」「#億り人」といったハッシュタグと共に流れてくる成功体験は、それを見る者に強烈な羨望と焦燥感をもたらします。自分自身の資産が停滞している時に、他人の華々しい成功をリアルタイムで目の当たりにすることは、FOMOを煽る上でこの上なく効果的です。
  2. インフルエンサーによる熱狂の醸成: 特定の銘柄や暗号資産を推奨する「投資インフルエンサー」は、多くのフォロワーを抱え、市場に大きな影響を与えることがあります。彼ら・彼女らが一つの銘柄を集中的に取り上げると、フォロワーの間で一体感が生まれ、一種のお祭りのような熱狂状態が作り出されます。このコミュニティに参加し、一体感を得たいという欲求も、FOMOを加速させる一因です。
  3. アルゴリズムによる熱狂の増幅: SNSのアルゴリズムは、ユーザーの関心が高い投稿を優先的に表示するように設計されています。ある銘柄が話題になり始めると、関連する投稿が次々とタイムラインに表示され、あたかも世の中の全員がその銘柄に注目しているかのような錯覚(エコーチェンバー現象)に陥ります。このアルゴリズムによる熱狂の増幅が、FOMOを個人の感情から社会現象へと拡大させてしまうのです。

FOMOがもたらす致命的な投資行動

FOMOに囚われた投資家は、典型的に次のような致命的な行動をとります。

  • 衝動買い(ジャンピング・キャッチ): 十分なファンダメンタルズ分析やテクニカル分析を行うことなく、ただ「価格が上がっているから」「話題になっているから」という理由だけで、急騰している銘柄に飛びついてしまいます。
  • 戦略の放棄: もともと立てていたはずの長期的な投資戦略や、自分のリスク許容度を完全に無視します。「このチャンスは二度とないかもしれない」という思い込みが、全ての規律を無効化してしまうのです。
  • 最高値での参入: FOMOがピークに達するのは、往々にして価格が最も過熱し、メディアやSNSでの話題性が最高潮に達した時です。皮肉なことに、乗り遅れまいと焦って行動した結果、最も割高な価格で資産を購入し、「最後の買い手」となってしまうのです。

FOMOは、私たちを賢明な投資家から、群衆心理に踊らせる単なる投機家へと変貌させてしまう、現代で最も警戒すべき心理的な罠の一つと言えるでしょう。

第4章:「欲望」とFOMOを克服し、賢明な投資家になるために

これまで見てきたように、高値掴みは人間の根源的な欲望と、現代社会が生んだFOMOという強力な心理的圧力によって引き起こされます。これらの感情を完全になくすことは不可能です。しかし、そのメカニズムを理解し、意識的に対策を講じることで、その影響を最小限に抑え、感情に支配されない賢明な投資判断を下すことは可能です。

1. 自己認識の重要性:自分の「感情の癖」を知る

対策の第一歩は、自分自身を知ることです。自分がどのような状況で「もっと儲けたい」という欲望を強く感じるのか、どのような情報に触れるとFOMOを感じやすいのかを客観的に把握することが重要です。

そのための有効なツールが「投資日記」です。売買の記録だけでなく、その時に自分が何を感じ、なぜその判断を下したのかを書き留めてみましょう。「SNSで話題になっているのを見て、焦って買ってしまった」「損失を取り返したいという気持ちから、リスクの高い取引をしてしまった」といった感情の動きを記録することで、自分の陥りやすいパターンが見えてきます。この自己分析のプロセスこそが、感情をコントロールするための基礎となります。

2. ルールベースの投資を徹底する:感情を排除する仕組み作り

感情の波に飲まれないための最も効果的な方法は、意思決定のプロセスから感情をできるだけ排除する「仕組み」を作ることです。それが「ルールベースの投資」です。

  • 明確な売買ルールの設定: 投資を行う前に、「どのような条件が満たされたら買うのか」「どのような条件になったら売るのか(利益確定・損切り)」を、具体的かつ客観的な指標で明確に定めておきます。例えば、「移動平均線がゴールデンクロスしたら買う」「購入価格から10%下落したら、理由を問わず損切りする」「PERが40倍を超えたら利益確定を検討する」といった具合です。
  • ルールの厳守: 最も重要なのは、一度決めたルールを、市場の熱狂や自らの感情に流されずに厳守することです。ルールは、相場が穏やかな時に、冷静な頭で設定するべきです。そして、市場が熱狂している時こそ、そのルールがあなたの理性を守るための羅針盤となります。特に「損切りルール」の徹底は、一度の高値掴みが致命傷になるのを防ぐための生命線です。

3. 情報との健全な付き合い方:ノイズから距離を置く

欲望やFOMOの多くは、外部からの過剰な情報によって増幅されます。情報洪水の中で溺れないために、情報との付き合い方を見直す必要があります。

  • SNSとの距離: 投資に関する情報を得る上でSNSは有用な面もありますが、他人の「爆益報告」や根拠のない煽りは、あなたの心を乱すノイズでしかありません。フォローするアカウントを厳選し、感情を煽るような情報からは意識的に距離を置きましょう。情報をインプットする時間を1日のうちで決めておき、それ以外の時間はチャートやSNSを見ないようにする「デジタル・デトックス」も有効です。
  • 一次情報と信頼できる情報源の重視: センセーショナルな見出しが躍るネットニュースや週刊誌の記事よりも、企業の財務諸表や決算説明資料といった一次情報、あるいは信頼できる経済メディアの客観的な分析を重視する習慣をつけましょう。情報の質は、投資判断の質に直結します。

4. 長期的な視点を持つ:「時間」を最大の味方にする

高値掴みは、多くの場合、短期的な利益を追い求めることから生じます。この罠から逃れるためには、視点を短期から長期へと切り替えることが不可欠です。

  • 長期・分散・積立投資の実践: 短期的な価格変動を予測することはプロでも困難です。しかし、長期的に見れば、世界経済は成長を続けてきました。特定のタイミングに賭けるのではなく、定期的に一定額を投資し続ける「ドルコスト平均法(積立投資)」は、高値掴みのリスクを平準化し、感情の介入を防ぐ優れた手法です。また、資産を一つの銘柄や国に集中させるのではなく、複数の資産に分散させることで、特定の資産が暴落した際のリスクを低減できます。
  • 「市場から退場しないこと」の重要性: 投資における最大の成功は、短期的に大きな利益を上げることではなく、長期にわたって市場に居続け、複利の効果を享受することです。高値掴みによる大きな損失は、投資家を市場からの退場に追い込み、この最大の機会を奪ってしまいます。「生き残り続けること」こそが、最も重要な目標であると認識しましょう。

結論:欲望とFOMOを理解し、規律ある投資家へ

「もっと儲かるはず」という甘美な囁きと、「乗り遅れてはいけない」という焦燥感。これらは、投資の世界において、私たちを常に高値掴みへと誘う危険な罠です。しかし、本記事で見てきたように、その正体は人間の普遍的な心理メカニズムである「欲望」と、現代社会がもたらした「FOMO」に他なりません。

重要なのは、これらの感情を否定し、根絶しようとすることではありません。むしろ、自分の中にそうした感情が存在することを認め、その働きを深く理解することです。プロスペクト理論が示す判断の歪み、様々な認知バイアス、そしてSNSが加速させるFOMOの脅威。これらの知識は、荒波の市場を航海するための海図となります。

高値掴みを避ける道は、決して特別な才能や情報を求める道ではありません。それは、自分自身の心理を理解し、客観視することから始まります。そして、その理解に基づき、感情の介入を排した「ルール」を自らに課すことです。

さて、あなたはどのようなルールを自らに課しますか?

タイトルとURLをコピーしました